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嵐のあと
英国SS
―うーん・・・気になる。
だいたいみんな揃って口をにごしているし。
事件が解決してみると、ひたすらどうでも良さそうなことが気にかかってくる。我ながら変だとは思うけれど。
いまさらみんなに聞いて回るなんて、できそうもない。
アシュレイあたりなら面白がって喋りそうな気もするが、あの状況をいちいち説明する気にもなれない。
・・・何故か妙に癪なのである。
―はあ。
そして、ユウリはもう何度目かの溜息を思いきり吐き出した。
チェルシーに何を言われようと、どうでもいいことなのだが。でも。
そろそろ日も落ちようという時刻、オレンジ色の夕日の光をぼんやりと眺めながら、ただ考え事をしていた彼は、目の前に迫った影に気づくことなく、正面からぶつかった。
「―!?」
衝撃を感じた時には、もう遅い。
ごめん、と言おうとして、それを遮ったのは、いかにも面白そうに微笑っている当のアシュレイ本人だった。
「ア・・・アシュレイ・・・!?」
呟いた自分はよほどびっくりした顔をしていたのか、魔術師はにやにやしながら、
「おいおい、ちょっとはこたえたかと思ったら、もう平和ボケか?」
などとのたまう。
ユウリは反射的にむっとして言い返そうとしたが、またもやこの男は先手を打ってきた。
「・・・チェルシーが言ったことがそんなに気になるか?」
低い声で囁く顔は、いつの間に数ミリのところまで近づいてきている。
「な・・・なんでアシュレイがそんなこと・・・っ」
だいたいあれは、肝心な時にいないから―。
「どうでもいいことなんざ、いちいち気にするな」
―そりゃあ、一部で妙な噂が・・・などとはさすがに言う気はなかった。
「・・・。」
いやに力のこもった言い方に、そうなのかな、と納得したその時―。
「―何をしているんですか」
氷のような声と共に、通りかかったらしいシモンがアシュレイを睨みつけていた。
対するアシュレイはいつも通り動じたふうもなく、いーや別に、とふんと鼻を鳴らす。
「―呑気にしてると足元すくわれるぜ?」
「あなたにそんな事を言われる筋合いはありません」
いやにきっぱりと言い放つシモン。
アシュレイは肩をすくめると、ちらっとこちらを見ながら去っていった。
―やっぱり・・・妙に面白がっているような・・・。
そこへ、図上から今度はシモンの声がかかる。
「・・・ユウリ?」
「あ・・・うん、なんでもない」
咄嗟にごまかしてしまう。まさか、とてもそんなことは―。
・・・まあ、いいか。
心中で納得させると、美味しいお茶が手に入ったというシモンの後について歩き出した。