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慟哭
ホミコレSS
世界が紙切れのように粉々に千切れていった。
どんなものが見えようと、なんの意味もない―。
自分が生きているだけでは、瑞希を救うことなど出来ないような気がした。とはいえ、出来ることといえば、必死に祈ることだけだった。 神なんてものは信じていないが、それでも。
―このまま瑞希を連れていったら、絶対に許さない・・・!

「瑞希、しっかりしろ!!」
叫んだとたん、瑞希は何かを吹っ切ったように意識を手放した。それだけで、激しく動揺している自分がいた。 よく喋る口も、巡回中に、暇な時は助手席で居眠りしているような相棒が隣にいるのがいかに当たり前のことだったかを思い知らされる。 その、「当たり前」が崩れると、いかに大きな衝撃に貫かれるかということも―。
犯人に撃たれた傷からは、みるみる赤い液体が溢れていた。人間、何分の一の血を失ったから命を落とすのか。考えるより早く、千祥は瑞希の傷口を押さえていたのだった。 それでも止まらない。
この血が止まりさえすれば、助かるかもしれないのに。
自分の力は、所詮そんなものだった。ちっぽけな、欠片にも満たないもの。

「押さえても、押さえても、あいつの血が止まらない―。止まらないんだ!どうしても止まらない・・・」
堪え切れなくなった胸の詰まりを吐き出した時、駆けつけてきた仲間の姿が見えた。
瑞希は、なんとか命を繋ぎとめたまま、病院に担ぎ込まれたのだと、ぼんやりと思い出す。
「チーフ―」
雄仁の絞り出すような声を聞きながら、千祥は自分の両手を見つめた。
欠片のクズのような力でも、何分の一かは役にたったのだろうか。
でなければ。
―今、俺がここにいる意味などない!

助けてくれ。誰か瑞希を、助けてくれ―!
そのためなら、悪魔にだって魂を売ってやる。