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今は、まだ
お題SS
―知らんうちにユウリも大きくなったもんやなあ。
向こうにまで、ある意味ユウリの力になれる人物がいるとは。もともと、幼い頃から純粋に才能に目をつけていた。
出生のせいもあるのだろうが、そんなことは関係無い。この世界、実力と力が全てである。
しかし。
相変わらず、自分がどれだけ稀な存在であるかと自覚は全くないらしい。
―まあ、あいつは本能で生きてるようなとこがあるさかい―。
いつもはちょっとした『悪戯』でびいびいと泣いていたのに、たまに強力な結界すらするりと抜けてしまうようなところがあった。
本人は気付いていないだろうし―隆聖もたまには優しいとにこにこしていたので、何故か無性に憎たらしくなったものだった―言うつもりもなかった。
―にしても。大変なのはこれからやぞ。
心の中で呟きつつ、報告書のページをめくる。そして。

―いや。ここまで良く進歩したものだというべきか。

隆聖はふっと目を細めた。
・・・。悠里が水を克服したか。
―しかし、流されやすいところがあるさかい、やはりこれからが要注意やなあ・・・
そもそも、そういう場所に行ったということすら解っていないのではないだろうか。こういうこともあろうかと、陰陽術の本を送りつけておいたのだが、かろうじて役に立ったらしい。
「あと10年は修行が必要やな」
呟く。
その頃には、自分も家を継いでいるだろう。色々と権力も拡大するはずだ。
当面の壁は、口うるさい従兄妹。あまり邪険に扱うと悠里も良い顔はすまい。

さて、どうしたものか―

まあ、ユウリのことは親友とそいつに任せておいたろか。今は、まだ―。


ゆるゆると。時間は流れる、どこまでも。