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もう少し待って
お題SS
瞼が重い。まだ半分も読んでいないコピーの束の文字が次第にぼやけていく。
―慣れないことはするものじゃ・・・ない・・・かも・・・
思考とともにどんどん紙との距離が縮まる。目の前の文字が大きくなる。だからといって読みやすくなるわけでもなく―。

―ばさっ。

微かな物音は、深い心地よい静寂を呼び込む合図。


・・・ん?
興味深い記事を発見して没頭していたら、随分と時間が経っていたようだ。そろそろ夜中が近い。
確かその前は、ユウリの食べっぷりを横目で呆れながら見ていたのだが、案の定眠ってしまったらしい。ゆっくり顔を上げたアシュレイの目に飛び込んできたのは、資料に半分伏せて寝息を立てている無防備な顔。
―いつから俺は牛飼いになったんだ・・・
呆れつつも何となく起こすのは躊躇われて、シャワーでも浴びてくるかと立ち上がったその時。

―ブルブル・・・

出所はユウリの鞄の中らしい。携帯の呼び出し音だろう。突如割り込んできた守護者の顔に、アシュレイは無性に腹立たしくなった。
いつまでもついて回る影。
これだけ離れても、それでも、別の形でついて回る。

―くそっ。

ユウリの寝つきはすこぶる良いらしく、ぴくりとも動かない。
このままあと少しなら、目を覚まさないかもしれない―。

「―もう少し?・・・ふざけるな」

自分の流れるような、あまりに後ろ向きな考えに、小さく吐き捨てた。


あと、少し。
もう少し、待って――。