それは、まるで、迷路のような―
お題SS
ぐるぐると、回る思考。
それは、まるで、迷路のような―
ユウリ。
君にこんなことを言ったら、笑われてしまうだろうか?
その事実は、学校に戻ってから、複雑な顔をしたパスカルによってもたらされた。後ろでウラジーミルがこれまた何とも言えない表情をしていたが、解ったの一言で済ませた。
心境がありありと見えているであろう姿をいつまでも晒していたくなかった。
突然の、ネイザン・アシュレイの動きによる会合。まさかそれまでが仕組まれていたとは思いたくないが、ユウリとの接点が絶たれてしまったことに、シモンは激しく動揺していた。
携帯電話の向こうの呼び出し音が虚しく響き渡る。これで、7回目―。
状況からして、アシュレイと外出して、そのまま外泊しているらしい。
相手があの男でなければ、そんなに不安定になることもなかったのだろうかと考えて、そんなことは無駄だと悟る。
ただ、それが一番の不安材料なだけで。
時刻はもう夜中。それでも一向に寝つけないのは・・・。
―思考の闇に沈もうとした時、不意に景色がぶれる。慌てて握ったままの携帯電話を開いた。
『ユウリ』
その表示が、希望の光に見えた。
「ユウリ?」
「ああ。シモン、ごめん。こっちから連絡すればよかったんだけど―」
慌てたような親友の声に、ほんの少し安堵する。
―君が外泊しているとは思わなかったけれど。
それでも口調はやや刺々しくなった。本当なら、アシュレイに馴染んでなど欲しくない。二度目があったら、その時は―
言おうと思ったけど、忙しそうだったからという言い訳を聞きながら、深みにはまっていく自分に、小さく溜息をつく。
悩んでいてもどうしようもない。とりあえずは。
「・・・それで、今ユウリはどこにいるって?」
「ああ、えっと、ここはカーディフの―」
居場所が告ようとしたユウリに、さほど時間をおかずに、アシュレイが割り込んできた。
「うるさいんだよ、お前は。こいつの小姑か」
低い苛立ちの混じった声と共に、糸がぷつりと切れた。
ベルジュの力を使えば、居場所などたやすく調べられるだろう。
それを使えば―
何度も思ったけれど、結局しなかったのは、ユウリのほうからかけ直すのを待っていたかったから。
一向に繋がらない電話の向こうの、繋がりを。