永遠の1秒
デスノートSS
※アニメ最終話ネタバレ注意。
目の前が真っ赤に染まった。
どこまでも塗りつぶされる視界と、獣のような叫び声を聞きながら、ひとつだけ解ったことがあった。
絶望。
なにもかもが失われて流す、最後の足掻き。
僕の未来も、そんな場所に向かって突き進んでいるのだろうか。
そんなはずはない。
そんなわけがない。
ありえない。
まだ世の中は腐っている。腐った人間が―
まだ、僕にはやることが―
手の中に残った最後の力で、扉を押し開けて外へ飛び出した。
すっかり雨はあがっていて、まばゆい夕日があたりを照らし出ている。
その光の向こうに何かがありそうな気がして、ただ機械的に歩を進めた。
もう何かにすがることしか出来ない。
高校生の時。
あの時。
初めてノートを手にした時は、もっと希望に満ちていたはずだったのに。
世の中を変えなければいけないと思っていた。
自分になら出来ると思っていた。
―なのに、求めているのはもっと違う場所なのだ。
そこじゃない。そんなことなんかどうでもいい。
自分の居場所なんていつの日からか解らなくなった。
「いつか父さんのような警察官になりたい」
幼い頃、口にした夢が本物だったのかどうかすら解らない。
退屈だった。
生まれたばかりでくすぶり続ける感情を抱えて、手探りで進んでいた時に見つけた希望は。
死神とか、神とか、本当は、そんなもの―
全てを切り捨ててきた道には何かが残っていたのだろうか。
『さよならですね・・・淋しいです』
「・・・・・・っ」
いつかの台詞が甦った、その、瞬間。
―どくん。
心臓が、跳ねた。
・・・。死ぬのか、僕は。
リュークがノートに自分の名前を書いたことくらいは、頭の片隅で理解していた。
不思議となんの感情も沸いてこなかった。
1、2、3・・・
残された時間は40秒。
もう、たぶん、何も言うことはない。
月は脱力したように目を閉じようとした、その時―
『・・・月くん』
―・・・・・・・!?
もう、この世にいないはずの。
まぎれもなく、自分が消し去ったものが。
その声が。瞳が―
『私は―』
―竜崎・・・。
その先がよく聞こえない。
当たり前だ、これは幻なのだから。
自分のちっぽけな、願望が見せた、幽霊―。
それでも。きっと。
かすむ視界の中で、ひとつだけ解ったことがあった。
僕は、お前と友達になりたかったんだ―